きぼう 1





ジョミーたちがナスカへ到着して、二ヶ月が経った。
なんとか地上で生活して行けるように、ミュウたちは機械の整備や住居の建設を始めていた。
ジョミーはソルジャーとしての仕事が忙しく、ナスカに降りて忙しく毎日を過ごしている。
ナスカに降り立ってから若者達を中心にミュウたちは活気を取り戻し、毎日が充実していたのだった。




「ソルジャー・ブルー?少し宜しいですか?」

久しぶりに、フィシスがブルーの寝室を訪ねてきた。
ブルーは思念で答えると、ゆっくりと身体を起こすとフィシスを見た。

「どうかしたのかい?」
「ジョミーのことでご相談が…」
「ジョミー?」

首を傾げるブルーに、フィシスは頷く。

「最近、何だか元気がない様で…あまり食事も摂っていないようですし…」

心配そうに言うフィシスに、ブルーはとても驚いた。
ここにやって来るときのジョミーは、いつもとても元気だ。
それは楽しそうに、一日の出来事を話してくれるのだ。
もしかして、無理をさせていたのだろうか。
ブルーは唖然としてしまった。

「何かそわそわしているような気もしますし…」

フィシスがそう言った瞬間、突然シャングリラ艦内に通信が入った。

『緊急連絡です!ナスカにて、ソルジャーが倒れられたとのことです!万全を期して、只今よりシャトルで帰艦されるようです!』

管制官の連絡を聞くや否や、ブルーはベッドから飛び降りてフィシスに言った。

「フィシス、搭乗口へ向かう!」
「はい…私も行きます!」
















ブルーとフィシスが搭乗口に到着した直後、シャトルがゆっくりと滑り込んできた。
シャトルの周りにはハーレイら長老達や、ジョミーを心配した者がたくさんが集まっていた。
そして重厚な扉が開き、中からジョミーが出てきた。
ジョミーがステップを降りた瞬間、わっと集まる人々。

「ソルジャー!」
「ソルジャー・シン!大丈夫ですか!?」

沢山の人々に心配され、ジョミーは苦笑しながら頷いた。
そしてブルーの姿を発見すると綻ぶように微笑み、小走りで近寄ってくる。

「ブルー!」

ぶつかる様にブルーに抱きつくジョミー。
恥ずかしがりやのジョミーが人前でこんな風に抱きついてくるのは、とても珍しい。
ブルーは驚きながらもジョミーの背に腕を回した。

「あのね、…赤ちゃん、できたって

ぎゅっと抱きつかれて、耳元で小さな小さな声で囁かれた言葉。
ブルーはジョミーの肩を掴み、身体を離して問うた。

「ほ、本当なのかい!?」
「うん…」

とても嬉しそうに、幸せそうに微笑むジョミー。
余程嬉しいのか、エメラルドの瞳は微かに潤んでいる。
ブルーの胸の中に何とも言い表しがたい気持ちが溢れる。
300年間生きてきて、初めて感じる気持ち。
ジョミーがこの感情をくれた。
ジョミーが居てくれたから、ここまで生き永らえてこれた。
彼女が愛おしくて愛おしくて堪らない。
あまりの嬉しさと感謝に、だんだんと視界がぼやけてゆく。

するとジョミーはブルーが涙ぐんでいることに驚いたのか、ブルーの頭に手を伸ばしてぎゅっと抱きしめた。
温かなぬくもりに包まれて、ブルーは涙を零した。

「ありがとう…ジョミー…」
「ソルジャーが泣いてたら、みんなビックリするだろ!」
「うん…ありがとう…」

細いジョミーの身体を強く強く抱きしめた。


「……ゴホン」

突然聞こえた咳払いに、ジョミーはビクッと身体を震わせて振り向く。
そこには、気まずそうにハーレイが立っていた。
自分を心配して集まってくれた皆をほったらかしにしてしまっていたのだ。

「あっごめん…」
「はっ…そうじゃ!ソルジャー・シンはどうして倒れられたのじゃ!?」
「そ、そうです!どこかお体が悪いのですか!?」

ゼルとエラにずいっと問い詰められて、ジョミーは冷や汗を流しながら答えた。

「あ、あのさ…妊娠、したんだ」

ジョミーがそういうと、フィシスを除く全員がぽかんと口を開いた。

「え…ええーーーーーーーーーーー!!!!!!」

シャングリラ中に響き渡るほどの声で驚かれ、ジョミーは思わず肩を竦めた。
















     
「いのち」、続編でございます^^
どこまで書けるかは分かりませんが、お付き合い下さると嬉しいですv
それにしてもおじいちゃん涙もろ!(笑)
拍手や感想頂けると嬉しいですー!



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