unlucky? 2






「…それはどういう…」

大事にしないでくれ、とはどういう意味なのだろう。
まさか、僕を撥ねたことが些細なこととでも言うつもりなのだろうか。
些細なことだから、大事にしたくないとでも?
ジョミーはムッとしながら男性の答えを待った。

「今、僕の会社は引き継ぎでとても複雑になっているんだ。」
「はぁ………?」
「引継ぎが正式に完了するのは、6月の末。それまでは、問題を起こしたくないんだ。」

予想外に、何やらややこしい事情があるらしい。
それ以前に、今この人は"僕の会社"と言わなかったか。
やはり彼は金持ちの部類に入るようだ。

「はぁ…それで僕はどうしたら?」
「今日から3週間、この部屋から出ないで欲しい。」
「は!?どうしてっ…ぃた…」

男性の言葉に心底驚くジョミー。
思わず身体を動かしてしまい、痛みに呻いた。
だが驚くのは当然のことだろう。
彼の事情はともかく、何故自分もこの部屋から出られないのだ。
ジョミーは凄む様に彼を見た。

「引継ぎの間、何としてでも僕を失脚させようとする輩があらゆる手で向かって来るだろう。勿論、僕が君を連れて帰ってきていることも彼らはもう知っている筈だ。こんな状態で君が外に出れば、真っ先に狙われる。そうなれば、必ず助け出せるとは限らない…」
「え…」
「だから、3週間はここで暮らして欲しい。僕も3週間はここから出られないから、手当ては僕がするよ。」

お願いだ、と頭を下げられる。
突然撥ねられて、ここに連れてこられて。
そして、3週間の間外には出ずにここで一緒に暮らせと。
あまりの急展開に、ジョミーは頷かざるを得なかった。

「駄目かい?」
「駄目かって…僕が外へ出たら僕も狙われるし、貴方も困るんだろ…?じゃあ、いいよ…病院だと思えばなんとか…」

ジョミーがそう言うと、彼の顔がぱぁっと輝いた。
ありがとう!と言いながら抱きついてくる男性に、ジョミーは硬直してしまう。

「あ!すまない、痛むんだね…。僕は、ブルーだ。宜しく。」
「ジョミー・マーキス・シン…です」

動かない腕はだらんとベッドに投げ出したままだから、握手は出来なかった。


そして、二人の奇妙な同居生活が始まった。














「ブルーさーん!これ、ここでいいの?」
「ああ。ありがとう。」

あの事故から、一週間が経った。
幸いなことに健康なジョミーの身体は大分回復し、今は多少腕は動かしづらいものの随分動けるようになっている。
出られない間ジョミーはブルーの家でゲームをしたり、勉強を教えて貰ったりして過ごしていた。

そして今は、夕飯の片付けをしている最中。
ブルーは生粋のお金持ちの家の人らしいのだが、一人暮らしで家事は全て自分でしていたようで。
動けないジョミーの為に色々な料理を作ってくれた。
ブルーの作ってくれる料理はどれも絶品で、暇を持て余すジョミーの楽しみの一つになっていた。

食事が終わると二人で片付けをして、テレビを見たりゲームをしたり。
それがこの一週間の生活だった。
一言で言うと、贅沢な生活。
働かなくてもいい、外出しなくてもいいのだ。

暮らし始めて三日目でジョミーが暇だと言ったら、彼はゲーム機と大量のゲームソフトを用意してくれた。
最初は遠慮をして首を横に振ったジョミーだったが、ブルーが笑顔で『受け取ってくれ』と言ったものだから、断れなくて。
それからは二人で、ああでもないこうでもないと論議を交わしながらゲームをするのがここ数日の習慣になっていた。

「さぁ、今日は何をする?」
「んーなんでもいいけど…」

今までゲームをしたことがなかったという彼は、ジョミーがプレイしている横でじっとそれを見ている。
何度も勧めてみたのだが、ブルーはゲームが苦手らしいのだ。
何故かと聞くと、『操作が覚えられないし、目まぐるしい』と言われた。
ジョミーには、株の動きを見ているパソコンの方が操作が難しく、目まぐるしいとしか思えなかったのだが。
普通の人とはどこか違う彼が面白くて、好きだった。

「じゃあ、映画を見ないかい?」
「映画?」
「あぁ。ハーレイが持ってきたソフトの中に入っていたから…」

そう言ってケースを持ち上げたブルー。
その映画は恋愛映画らしく、男女の見つめあうジャケットが印象的だ。

ハーレイという人は、ブルーの秘書らしい。
いつもこの家に食材やゲームなどの必要なものを運んできてくれる人だ。

「恋愛映画みたいだけど、大丈夫かい?」
「うん。面白いの?」
「ハーレイが選んだくらいだから、そうじゃないかな?」

ふーん、と頷いたジョミーはジャケットからディスクを取り出してスイッチを押して。
自動で開いたゲーム機にそれをセットしてもう一度スイッチを押すと、ディスクは機械の中へと滑り込んでいった。


この時ジョミーはまだ、ジャケットに描かれた指定マークに、気付いていなかった―――。












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これ、梅雨小説だったんじゃ…;;;;;;;;;;;
このあと、ブルーによるよい子の性教育が…始まったり始まらなかったり^^


ちなみに、話の中に出てくるゲーム機は、プ/レ/ス/テ/2です。
ゲームしようと思って白いプ/レ/ス/テ/2を買ったそのちょっと後に超薄い本体が出て、泣きたくなりました。笑
でもゲームは格ゲーか牧/場/物/語しかできません←
ウルトラマンとかジョジョの格ゲー楽しいですよ^^
最高にハイってやつだ!





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