拍手小話 1





ある日の昼下がり。
ジョミーとブルーは、子供たちの遊ぶ中庭で休憩していた。

「そうだ、ジョミー。」
「なに?」
「サイオンの訓練をしよう!」
「…え?」

突然の提案に、ジョミーはきょとんとブルーを見た。

「ジョミーはまだサイオンをうまく調節できないだろう?だから、今から僕と訓練をしよう。」
「…はい。」

両手をとって目を輝かせて言うブルーに疑問を感じつつも、ジョミーは頷いた。

「じゃあ…相手の思念を読む練習から。」
「はい。」

サイオンの訓練なら、ブルーに負担をかけずに済むし、自分も上達するから一石二鳥だ。

「最初は手をつないだままやろうか。接触しているほうが読みやすいからね。じゃあ、僕の思念を読んでごらん?」

両手を繋いで向かい合い、互いに目を閉じて集中する。
ブルーの中に入りこむために意識を向ける。
だが、そこはやはりミュウの長と言うべきか、なかなか思念を捉えることが出来ない。
ジョミーはギュッと手を握り、更に集中した。

『ジョミー。』

ふと聞こえた声に、ジョミーは閉じていた目を開き、ブルーを見た。
ブルーは相変わらず目を閉じたままだ。

『可愛いジョミー、好きだ。愛してる。』

やっとのことで捉えたブルーの思念は、聞いているだけで恥ずかしくなるような内容だった。
これが、ブルーの心の声。
ジョミーは恥ずかしくて、手を離そうと試みたが握られている手はびくともしない。

『ジョミー、キスして抱きしめて可愛がってあげたい。』
「あ、ぅあ…」

まだ14歳を迎えたばかりのジョミーは、性的な行為は殆どといっていいほど知らない。
自然出産を禁じられているこの社会では、性行為に関する知識は与えられないのだ。
そんなジョミーの中に、ヴィジョンが流れ込んできた。
自分が、ブルーと裸で抱き合っている映像だった。

「あ、やだ、だめ…」

手を掴まれたまま、ジョミーはくたりと力を失った。

「ジョミー!?」

ブルーが慌ててジョミーを見ると、ジョミーは顔を真っ赤にして気を失っていた。
きっと、自分のジョミーに対する想いが、ジョミーの頭をパンクさせてしまったのだろう。
申し訳ないと思いつつ、この反応が可愛くて仕方がない。
あんな、想像だけで気を失うなんて。
芝生の上に寝転がると、自分の腕にジョミーの頭を乗せて抱きしめた。
あどけない寝顔に触れるだけのキスをすると、ブルーは静かに目を閉じた。

まだまだ、二人が愛し合える日は遠そうだ―――。








    
拍手第一弾でした^^
inserted by FC2 system