BLOOD 1





ジョミーとブルーが初めて出会ったのは、蒸し暑い熱帯夜だった。
あまりの暑さに、ジョミーは自室の窓を開け放していた。
ジョミーの家はマンションの7階だったから、窓を全開にしていても、誰にも入られることはないと思っていた。
風もない夜だったのに、突然びゅうっと風が吹き込んでカーテンが煽られて。
そしてベランダを見ると、知らない男性が笑顔で立っていた。

「こんばんは、ジョミー。」
「……誰あんた」
「僕はブルー。そんなに怖い顔、しないでくれるかい?」

黒衣に身を包んだブルーと名乗る男性は、ニコニコと微笑みながらジョミーの部屋へ入ってきた。
対するジョミーは体を強張らせながら後ずさりする。
見知らぬ人間が突然部屋に入ってきたのだから当然だろう。
コツコツとブルーの足音がなり、ジョミーはつい叫んだ。

「靴脱げよ!土足だろ!」

予想外のジョミーの反応に、ブルーは吹き出してしまった。
くつくつと笑うブルー。
ジョミーは突然笑われて訳が分からず、ぽかんと口を開けた。

「きみ、変わってるって言われないかい?」
「失礼なやつだな!言われない!大体あんた誰だよ!」
「さっき言わなかったかい?僕はブルー…」
「そうじゃなくて!何者かって聞いてるんだ!」

ぎゃんっと叫ぶように言ったジョミー。
ブルーは後ずさるジョミーに近づき、足元に跪いた。

「僕達は、ミュウと呼ばれる者。君を、迎えに来たんだ。」

そっと手を取られ、手の甲に口付けられる。

「……は?」

どこから突っ込めばいいのか分からない。
不法侵入されたことか、手にキスをされていることか。
ジョミーは口付けられた手はそのままに、素っ頓狂な声をあげた。

「…僕達は、ミュウと…」
「ち、違うって!ミュウって…何?」
「吸血鬼。」

ブルーの形の良い唇から発せられた言葉に、ジョミーは今度こそ言葉を失った。
吸血鬼なんて、居る訳ないじゃないか。
映画や小説の中の生き物だって。
人の血を吸って殺して、コウモリに返信して、日を浴びたら灰になって――――。
この人が、その吸血鬼?
そしてその吸血鬼がどうして僕を迎えに来るんだ。

「そ、そんなの居る訳ないだろ!」

バッと手を振り払い、ジョミーは壁際に寄る。
するとブルーは首を傾げて聞いてきた。

「どうしてだい?」
「そんな空想の生き物…!」
「嘘かどうかは僕と共にくれば分かる。」

ニコリと笑って近づいてくるブルーの口元。
そこには、するどく尖った犬歯が一対。
何故か、やけにそれが目について。

「く、来るなよ!」
「どうして?吸血鬼なんて、いないんだろう?」

微笑んでいるはずのブルーがとても怖く感じた。
足を止めないブルーに、ジョミーはベッドの上のクッションを投げつけて。
ドアへと走った。

「ママ、マ…―――!!」

突然、何かに視界を覆われて。
ジョミーはそのまま体が浮くのを感じ、ギュッと目を瞑った。















     
こちらのブルーは、少し意地悪に行こうかと思います^^
ブルーに翻弄されるジョミー!




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